文章脳活性化2

(∩゜Д゜)アーアーキコエナーイ(ぇ

「ごめんなさい」
 彼は平身低頭した。その前には、腕組みをしながら温和な笑みをたたえたロングヘアの女性が一人。彼女は笑っているが、いたくご立腹なのは、その人にひたすら土下座する彼にはひしひしと伝わってくる。
 言葉にしなくても、伝わる想いってあるよね……なんて思ってみたりする彼は、実のところいっぱいいっぱいなのが現状だ。
「はい、今日は何月何日?」
「……八月十五日なんでせう?」
彼女の問いに、彼は地雷原を歩くように恐る恐る言葉を選ぶ。確かに、一歩間違えれば途端にドカン、という意味ではそこは地雷原に他ならないだろう。
「今から二十年前に、なにがあったか存じあげて?」
女性の問いは、飽くまで穏やかだ。その笑顔が、却って彼女の内心をいやなく語っている。
「あなた様がお生まれになられたと伺っておりますです、マム」
「総称して、そういう日を何て呼ぶのかな?」
「……誕生日っす」
彼女は満足そうに頷いた。そのまま腰を落として彼に目線の高さを合わせた。
顔を近づけているのは結構な美人だし、身につけているものがミニスカだから見えちゃっていたりしたが、そんなものに気を配る余裕は彼にはなかった。彼の今の作戦は「いのちだいじに」なのだ。確かにぱんつは魅力的だが、それと引き換えるほど安い命ではないと思う。
「なら……」
彼女はそう言いながら、彼の肩にぽんと手を置いた。
「どうして自分のパートナーの誕生日忘れてるのかなーっ!」
 ぎゅぐぐぐぐっ!と彼女の手が彼の首に食い込んだ。綺麗に入ったチョークスリーパーは、きっかり5秒で彼の意識を飛ばした。
 彼は薄らぐ意識の中で、自らの犯した業と与えられた罰の釣り合いなんていう、正直どうでもいいことを考えながら、ゆっくりと落ちていった。
 ちなみに余談ではあるが、その日の彼はさながら奴隷のように忠実であったことを付記しておく。